2021年が明けました。
今年もよろしくお願いいたします。

 2020年と2021年を境に「コロナ前」と「コロナ後」と呼ばれることになるかも知れません。

 それくらい大きな変革のきっかけになった昨年2020年は新型コロナウィルスの影響で、これまでにない社会情勢の中で、自動車教習所の経営も大変だったと思います。
 国の緊急事態宣言や都道府県からの休業要請によって長期間の休業や時間短縮を行ないながら、マスクの着用、手洗い、アルコール消毒、密にならない環境の整備など、教習を続けるために職員の皆様にも非常に苦労をされたものと思います。このたびの新型コロナウイルスによって影響を受けられた皆様に、心よりお見舞い申し上げます。

 これまで「戦後」といえば、第二次世界大戦(日本では太平洋戦争)の終戦記念日(1945年(昭和20年)8月15日)からになると思います。戦争では多くの破壊や社会システムの大変革が行われるため、戦争が終結した後は社会体制などが新しく作り直され、価値観まで変化します。このため、大きな戦争を一つの時代の区切りとして、「戦前」、「戦後」という区分をしてきました。この第二次世界大戦が終り「戦後」となって、すでに約75年が経ちました。

 「戦後」の日本は、他国の戦争に巻き込まれることもなく、経済成長を続けてきました。「阪神・淡路大震災(1995年)」や「東日本大震災(2011年)」など大きな地震や台風や水害はありましたが、今回の「コロナ禍」のような日本の全土だけでなく、世界中を巻き込んだ災難は「戦後」初めての経験になります。
 本日は2021年1月15日ですので、東京都など11都府県に緊急事態宣言の最中です。まずは、何とか「コロナ禍」を乗り越えて、そしてその後から訪れる「コロナ後」の世界を見据えて準備を進めなければならないと思っています。

 本題に入る前にちょっとだけ当社のご紹介を致します。当社は自動車教習所専門のIT企業です。自社開発したソフトやスマホ・アプリ、クラウドサービスを全国の自動車教習所に販売し、保守サービスを行っています。
 お陰様で当社の主力商品の自動車教習所システム「Profit」は北海道から沖縄まで全国 240校以上の自動車教習所で利用されるようになりました。また教習予約・自動配車のできる「Profit Pro 」は全国170校以上の自動車教習所で利用されています。
 同じ県内の全教習所と教習所協会、県警をネットワーク化するシステム「協会ネット(K-Net)」6県で利用されています。これまで皆様のご支援に支えられてここまでお客様の数を増やすことができました。この場をおかりして、深く御礼申し上げます。

 

ころで皆さんは、DXという言葉をご存じでしょうか?

 DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、これまでの文書や手続きの単なる電子化から脱却し、IT・デジタルの徹底活用で、手続きを圧倒的に簡単・便利にすることです。
また、データを活用し、よりニーズに最適化した業務を実現し、仕事のやり方も変革していきます。

 DXの’D’は、デジタル(Dijital)のこと、’X’がトランスフォーメーション(Transformaition)です。トランスフォーメーションなら’T’だと思いますが、欧米(英語を話す国)ではトランス(Trans)をアルファベット1文字の’X’で表記する習慣があり、DXとなっています。日本人にはあまりなじみがなく、良く分かり辛いですね。’Trans’は「超えて」とか「横切って」という意味があり、動詞の’Cross’と同じような意味を持つのです。だから’Trans’も’Cross’も省略して’X’になるとのことです。欧米の習慣ですので、’X’の意味はあまり深く考えなくて良いと思いますが、、、

 DXを簡単に言えば、「企業がビジネス環境の激しい変化に対応するために、データとデジタル技術を活用して、業務そのものを変革する」ということです。これまでのITによる業務改革は、「生産性向上」とか「経営革新」といった言葉を使っていましたが、DXの本質は、ITとデジタル技術を徹底活用することで、これまでの業務の改善や効率化といったレベルではなく、圧倒的に簡単・便利にするための業務改革を行うということです。

DXとは、圧倒的に簡単・便利にするための業務改革を行うということです。

 現在、クラウドサービスやAI(人工知能)、ビッグデータなどITの急速な進展により、世界的に産業構造やビジネスモデルが、かつてないスピードで変革しており、自動車教習所にもDX(デジタルトランスフォーメーション)の波が押し寄せてきています。

 当社では、教習所のDX(デジタルトランスフォーメーション)を実現するために、次のような新しい取り組みを行っています。

DX実現のための当社の取り組みは?

  • オンライン学科教習
  • 教習原簿の電子化
  • AI顔認証
  • 教習所ビッグデータ活用
  • 警察庁ホスト・共通基盤対応
  • アプリによる顧客満足度アンケート
  • 自動車教習所システムのクラウド化
  • 令和4年高齢者講習の法改正

 これからDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組んでいこうと考えている教習所は、何から手を付ければ良いか分からないかも知れません。それもそのはずで、上記のような取り組みをしなくても、自動車教習所70年以上の歴史上、特に問題なく経営ができたからです。

 未だに教習所システム(予約・配車システム)を導入しておらず、手書きの予約表や人間が配車を行っている教習所もあれば、教習所システム(予約・配車システム)や送迎バス予約システムも導入している教習もあり、IT化の進み具合はバラバラです。だた、はっきりと言えるのは、上記のようなDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組んで、実現している教習所はまだそんなに多くないということです。

 少し前に導入したシステムを「レガシーシステム」と言います。例えば技能の予約はできるが、学科の予約ができないとか、クラウドに対応していないとか、スマホアプリで利用できないとか、レガシーシステムは、10年以上前の技術で創られているシステムのことです。

 DXの世界は、例えばこれまで紙の予定表に手書きで技能予約を行い、ITでは遅れていた教習所でも、DXの導入で、一気に最先端になります。これまで他校に遅れをとっていたIT化を実現できます。一方、逆にこれまでIT化が進んでいたレガシーシステムを持つ教習所は、そのレガシーシステムが足かせになって、DXの流れに乗れず、大きく後れを取ってしまう可能性もあるのです。

DXはどうやって進めるの?

 欧米では、DXの採用に経営者(つまり社長)が自ら陣頭指揮をとりますので急速に普及しました。しかし、日本ではかなり難しいと思います。
 その理由ですが、先ずは日本の中小企業は一般的に世襲によって社長が交代するからです。自動車教習所の社長も世襲して、今は2代目、3代目、4代目の時代になっています。世襲とは、子孫つまり親から子に社長を引き継ぐことです。また、世襲でない場合も、指導員から検定員、副管理者という出世の道を進み、そこから社長になられた方もいると思います。どんなに業務の遂行能力が優れていても、良い経営者になれるとは限りません。世襲にしても、出世にしても、いずれも経営学を学び、経営を実践してきた本当の「経営のプロ」が少ないからです。欧米の会社は、経営をするための専門家が経営を行います。経営の専門家の必要な知識に、ITやDXの知識が必須とされていますので、経営の専門家であれば、DXの必要性を深く理解しており、経営者(社長)自ら、陣頭指揮が取れるのです。
 ですから、ITやDXに詳しくない自動車教習所の経営者の方は、先ずはDXがどのようなものかを理解してもらいたいと思っています。特に一般論としてのDXではなく、自動車教習所におけるDXがどのようなものかを知っていただく事が第一歩だと思います。
 実際に自分の教習所に、DXに取り組むかどうか決めるのは、その内容を知ってからでも遅くないと思います。
 

DXの導入は、まだまだ先の話だと思っていませんか?

 ご存じのとおり、自動車教習所は、「少子化(18歳人口の減少)」「自動運転の普及」「若者の車離れ」「マイナンバーカードと免許証の一体化」など、これから先、不安になる材料がたくさんあります。
 少子化、若者の車離れの話は、もう聞きたくないくらい、もう何年も前から言われ続けています。昭和63年をピークにして18歳人口は毎年3%づつ減ってきました。
 これまでは、就職前に免許証を取得する若い方は、「身分証明書」として運転免許証を持っておこうという方もいたと思います。しかし、身分証明が「マイナンバーカード」だけでできるようになれば、これまでのように「身分証明書」として免許を取る方が減ってくると思います。
 また、自動運転が発達して、安全になると「自動運転装備車限定」みたいな免許も出てくるかも知れません。「自動運転装備車限定」の免許なら、現在のAT車では、 31時間の技能時間が大幅に少なくなり、それによって教習料金も安くなるかも知れませんよね。

 そして新型コロナウィルスによって「コロナ前」と「コロナ後」に分けられようとしています。今はちょうど、その変革期にあたると思います。
 昨年2020年11月13日、小此木八郎国家公安委員長から「学科教習のオンライン化」と「書類の押印の廃止」の発表がありました。突然の発表で驚いた教習所の関係者も多いと思います。教習所のシステム開発に携わってきた私も本当に驚きました。これまでは「学科教習は教習所の教室で受けるもの」と決まっていましたし、教習原簿や卒業証明書には印鑑が必須のはずでした。

 そして、AIを利用した顔認証や教習所のビッグデータ活用、クラウドサービスへの移行、CTIの導入、教習所専用アプリによる毎時間アンケートなど、気が付けば、「学科教習のオンライン化」と「書類の押印の廃止」だけでなく、教習所を取り巻く環境が、これから劇的に変化するのではないかと思うようになりました。その劇的な変化をまとめて、当社では「教習所DX構想」という名称を付けました。

なぜ、教習所DX構想?

 当社では、昨年末から急激に「オンライン学科教習」に関する問い合わせが増えました。また、「教習原簿の電子化」や「教習所専用アプリ」に対するお問合せも増えてきてます。ただ、頂いたお問合せに十分な回答ができずに、ご期待に添えることができません。
 そのため、オンライン学科教習や教習原簿の電子化などへの質問にお答えできるように、社内に専門の「教習所DX構想プロジェクト」というプロジェクト・チームを作りました。自動車教習所業界に特化したDXに関連する情報を調査し、発信していく役割です。「構想」は英語にするとconceptです。conceptとは単なるアイデアやイメージではなく、物事に取り組む際の姿勢や、方針、思想を表します。当社にとっても「教習所DX構想」は未知な部分が多く、単なる目標や考え方よりも、その実現に向けて具体的に行動するための方針といたしました。
 教習所DX構想プロジェクトは、2021年1月に「教習所DX構想」というホームページを立ち上げ、同時に「経営のための教習所DX構想ブログ」を始めることにしました。「経営のための教習所DX構想ブログ」では、閲覧頂いたの皆様のご意見を記載できるようにしております。当社のユーザ様だけでなく、また経営者でなくてもかまいませんので、忌憚ないご意見を頂ければ幸いです。
 変革期を過ごすことは大変です。まずは正しい情報を集め、それをひとつひとつ実現していくしかないと思います。当社のホームページと当ブログが皆様のお役に立てることを祈願しております。
 今後ともよろしくお願いいたします。 

 2021年1月
                     株式会社プロフィット
教習所DX構想プロジェクト